第190 通常国会 2016/1/4~2016/6/1 日付:2016-06-20 |
●宇都宮市のLRT計画/住民合意なき導入は禍根(2月25日、予算委員会分科会)
宇都宮市と栃木県芳賀町によるLRT(次世代型路面電車システム)導入計画について、需要予測が不十分で安全対策に欠けるなどの問題点をただした。
計画について両自治体は、国の支援対象となる地域公共交通活性化法の認定を国土交通省に申請している。
利用客として想定される工業団地の従業員数が減っているにもかかわらず、計画案の需要予測にはそのことが反映されておらず、計画の妥当性が問われる。
1)所要時間短縮のためとして、法令で定める路面電車の最高速度の時速40キロを超え、50キロ(高架区間の一部では70キロ)での走行をめざすとしながら、自動車や人の侵入を防ぐ安全柵や追突防止の自動列車停止装置の整備計画がない
2)新規路線では新設が認められない踏切の設置を予定
―――など、安全対策上も問題点が多い。
国交省は新規の専用路線について「軌道法に規定はなく鉄道事業法を準用する」と答え、鉄道と同じ安全対策が必要であるとの認識を示し、「踏切は安全上のネックになる区間」「(本計画のように交通量が多いのであれば)鉄道の場合、踏切を設置してよいとはならない」と答弁。
多大な費用負担や住環境の悪化をもたらす計画案に多くの住民が反対している。住民合意を欠いたままのLRT導入は禍根を残す。計画は認定すべきでない。
●栃木・違法速度の路面電車(LRT)/計画見直しを(3月25日、環境委員会)
宇都宮市と芳賀町のLRT(次世代型路面電車)整備計画が、将来的に法定速度の時速40キロを超える構想で国土交通省に申請されていることを批判し、白紙見直しさせるよう求めた。
計画は、工業団地を結ぶ路線の利便性向上を優先課題に、将来的にLRTの最高速度を自動車との併用区間で時速50キロ、LRT専用走行区間で同70キロとする法律上の「特認を目指す」としている。
県道と新設される線路との交差部分に小学校が隣接するなど、住まい、教育、道路交通環境の悪化の懸念がある。警察庁に対し、路面電車の制限速度について確認すると、掛江浩一郎審議官は「軌道法では、路面電車の制限速度は原則時速40キロと定められている」と述べた。
さらに、宇都宮市が広報などでLRTの時遠50キロ化・一部70キロ化を住民に宣伝している件についてただすと、国交省は「今回の認定は、最高速度40キロを超える運転を認定するものではない」と答弁。
道路を走るLRTが時速50キロや70キロを出すことは本来実現できないはずだ。にもかかわらず市はそれを宣伝している。『50キロ70キロを目指す』と記載されている軌道運送高度化実施計画を国は認定すべきでない。
本計画の実態が、住民合意がなく、安全政策を後退させるものである。
丸川珠代環境相は「住民の理解を深めたうえで計画を進めることが重要」と述べた。