日付:2012-04-08 |
国民の知る権利を奪う秘密保全法制にかかわる非公開会議の『配布』資料として首相官邸ホームページ(HP)に掲載中の文書が改ざん・ねつ造されたものであることが、「しんぶん赤旗」との共同調査でわかった。
政府は「秘密保全法」をつくるために秘密でないものまで秘密にするだけでなく、隠すための改ざんまで行ってきたことが明らかになった。政府のこうした対応そのものが秘密保全法制の危険性を証明しており、法制の検討そのものをやめるべきだ。
問題の会議は、「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」(昨年1~6月、全6回開催)。HPで公開しているのは、『資料』、議事要旨、議事次第など。議事録は作っていないとされ、会議の経過や詳細な内容はほとんど明らかになっていません。
改ざん・ねつ造が判明したのは、同会議の1~5回目の配布資料(図右)。塩川議員が請求、入手した配布資料を調べた結果、わかりました。
1回目の配布資料は7タイトルありますが、実際に公開されたのは6タイトル分。会議の非公開、議事要旨のみの公開など、『密室運営』を政府側の誘導で決めた「配布資料3」の存在を隠すため、「配布資料4」以後の番号が公開資料では書き換えられています。2~5回目では、4~8枚の配布資料に代わって見出しだけのまったく別物の資料がねつ造され、公表されていました。
同会議の事務局を担った内閣情報調査室の橋場健参事官は「事務的な整理として(番号の)間を詰めた」「公表のためにとりまとめたペーパーを用意した」と説明。公開用の改ざん・ねつ造を認めました。
藤村修官房長官は「会議の経緯は、公開の議事要旨と配布資料で十分把撞できる」とし、議事録を残していないことが「公文書管理法に抵触しない」と説明してきました。
情報開示を拒んできた政府の国民だましの文書管理のあり方が厳しく問われます。
秘密保全法制の有識者会議/改ざん資料を読む/政府が密室へ誘導
公開用に配布資料を改ざん・ねつ造していたことが判明した秘密保全法制の有識者会議。国民の目から隠そうとした情報とは何だったのか――。
政府が論点提示
2~5回目の会議は、秘密の範囲や罰則など法制の具体的な中身について議論した回です。政府は各回で、4~8枚の資料を「事務局案」として配り、詳細に「論点」を提示(下図)。しかし、官邸ホームページで公開したのは、見出しだけを記した1枚の、全く別物の資料です。
あたかも有識者らが1枚の資料をもとに議論し、法整備を提言する「報告書」の内容を考え出したかのように見える仕掛けです。このねつ造が、会議で「事務局案」を示した事実を消し、政府の議論誘導を隠すものであることは明らかです。
冒頭に決めた
1回目の会議で唯一、非公表とされたのが「配布資料3」の「会議の運営について(案)」(下図)。▽会議の非公開▽議事要旨のみの公開▽配布資料の公開を内容に応じて判断する――など会議の冒頭に『密室運営』を決めたものです。
この運営を政府は「委員が決定したもの」と説明します。しかし、案文を作成することで政府は『密室』を会議前から用意していました。資料番号の改ざんは、案文の存在を隠し、『密室』に委員を誘導したことを隠すためのものです。
「機微な情報を含むため、内容に応じて公開を判断した」(藤村修官房長官)。政府は非公表の理由をこう説明してきました。
しかし、改ざん・ねつ造によって隠されたのは、政府が誘導する会議の実態と、それを隠すための情報操作の手口を明かす資料です。これらが、機微な情報でも機密情報でもないことはいうまでもありません。