国会質問

<第193通常国会 2017年03月24日 環境委員会 6号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、最初に、東電の原発事故による放射性指定廃棄物の発生、この問題について質問をいたします。
 福島を初めとして東北、北関東の地域に大量の放射性物質が降下をする、そういった中で、除染などが行われたり、さまざまな農作物にかかわるような被害をこうむっているところであります。そういった中で、放射性指定廃棄物、指定をされた、その保管場所についてお聞きしたいんです。
 ことし二月、栃木県の塩谷町は、町内にある放射性指定廃棄物の一時保管状態の改善を求める要請を環境省に行いました。まず、この塩谷町の環境省への要望内容がどのようなものかについて確認をしたいと思います。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 先月、二月九日、見形塩谷町長、手塚町議会議長らが、塩谷町にある指定廃棄物の一時保管場所強化の要望のために環境省にお越しになりました。
 具体的には、当該保管場所は洪水浸水想定区域内にあるため、洪水などでも流されにくく、将来的に移動も可能であるコンクリートボックス等への詰めかえにより、より強固で移動等にも対応できる保管体制に変更したいという御要望でございました。

○塩川委員 この塩谷町にある放射性指定廃棄物の保管場所というのが洪水浸水想定区域になる、そのために、流出する懸念があるということで、コンクリートボックスへの詰めかえなどの対応策を求めるものであったわけです。
 塩谷町では、那須塩原市で収穫をされ、町内の農家が購入した牧草二十二・八トンが、指定廃棄物として鬼怒川沿いの町有地に一時保管されております。この指定廃棄物について、一時保管状態の強固化への支援を環境省に求めているということです。
 昨年八月に、国土交通省の下館河川事務所が、一昨年の関東・東北豪雨により被害の大きかった鬼怒川を含む地域の洪水浸水想定区域の見直しを行いました。指定廃棄物の一時保管所は、これまで、大雨のときに、鬼怒川の水面上昇に伴い、鬼怒川の本川に流れ込めない用水路の水があふれる、そういう浸水する区域とされていたわけですけれども、この見直しによって、この一時保管場所が、鬼怒川の川幅が狭い上流部で堤防の決壊とか越水の可能性が高い、浸水する深度も深くなるということが見込まれるということになったわけです。
 この点について国交省に確認をいたしますが、このような洪水浸水想定区域についてどのような見直しを行い、配付資料でも一枚目に紹介をしましたけれども、この指定廃棄物の一時保管場所というのがどういうことが想定される区域となっているのかについてお答えをいただきたい。

○野村政府参考人 お答え申し上げます。
 鬼怒川は、水防法に基づいて、洪水予報河川という河川に指定をされておりますけれども、この洪水予報河川に指定されました場合には、当該河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を洪水浸水想定区域図として公表しているところでございます。
 そして、今お尋ねの放射性廃棄物の一時保管場所、塩谷町大字上平と承知しておりますけれども、については、鬼怒川の洪水浸水想定区域内にあることを私どもも確認しております。
 それで、事実関係ということでございますけれども、当該施設がある場所で浸水が想定される水深は、従前の浸水想定区域図においては一から二メートルまでの範囲の深さとなっていたところでございますけれども、近年、想定を超える浸水水害が多発をしてございます。これを受けて、発生頻度は低いけれども、しかし想定し得る最大規模の洪水に対する避難体制を確保するため、平成二十七年に水防法改正をいたしまして、想定最大規模の降雨による浸水想定区域図に見直すことといたしました。
 そして、今委員御指摘のとおり、昨年の八月に、そういう考え方に基づいてつくり直した浸水想定区域図を公表してございますけれども、これによりますと、当該場所については三メートルから五メートルまでの範囲の深さの浸水深になる、そういう区域図に変わったということでございます。

○塩川委員 最大降雨の規模を想定して、要するに、一番ひどい状況を想定した、それは当然のことであります。そういうことで改めて見直しをすると、従来は一メートルから二メートルの浸水の場所だったものが、三メートルから五メートル浸水をする場所にこの指定廃棄物が保管をされているということになるわけです。
 資料の一枚目にありますように、これは国交省がつくっています洪水浸水想定区域図で、家屋倒壊等氾濫想定区域、左上に書いてありますが、の図のうち、氾濫流というのと河岸侵食というのを重ねた地図として、私の事務所の方で作成をしたものです。
 国交省の方にお聞きしたいんですが、家屋倒壊等氾濫想定区域というのはどういうもので、そのうちの氾濫流、それから河岸侵食、これがどういう意味なのかについて簡潔に御説明ください。

○野村政府参考人 お答えを申し上げます。
 一昨年、関東・東北豪雨の際に常総市において鬼怒川が決壊をいたしまして、まだ記憶に新しいところでございますけれども、あのときに、堤防沿いの家屋が倒壊をしたり流出をしたりするという事象が発生をいたしました。
 それで、仮に家屋が倒壊をしたり流出をするということでありますと、例えば、一メートル、二メートル程度の浸水であれば、二階建て以上の家屋は上階に避難をする、いわゆる垂直避難ということで大丈夫なことが多いと思うんですけれども、家屋ごと流されるということになりますと、垂直ではなくて、やはり、その場から離れてより安全な場所に逃げていただく、いわゆる立ち退き避難ということを行っていただく必要があります。
 したがいまして、私ども、一昨年の水害の後において、それぞれの河川、国が管理する区間のほとんどにつきまして、万が一、想定される最大規模の降雨による洪水が起こったときに家屋が倒壊する危険性のあるところをこのように図示をしましてお示しをし、そしてまた、これをまた市町村が受け取って、例えば洪水ハザードマップ上にも明記をしていただいて、確実な避難に結びつけていただく、そういうことを目的として設定してございます。
 それから、今、二つのケースということで、一つは洪水の氾濫流によるもの、これはいわゆる水の勢いといいましょうか、流体力の作用で、要するに、水の力によって流されるということでございます。
 それから、河岸侵食ということでございますけれども、これは、過去においても洪水の場合に、どんどんどんどん河岸が侵食をされていく、どんどんどんどんじわじわと侵食が広がっていく、結局、侵食の幅がある程度大きくなった場合に、いわゆる立っている土台が崩れるということによって、侵食されてなくなるということによって家屋が倒れ込む、そういうことも過去ございましたので、その二つのパターンのいわゆる家屋倒壊の可能性について、計算上算出をして示したということでございます。

○塩川委員 この図で、小さい丸がつながっている網目状のところが氾濫流ということで、今お話のあったように、水の力で流される、そういうエリアで、あと、赤い線のように見える、川に沿った部分が河岸侵食に当たるところで、まさに河岸の侵食によって影響を受ける。その両方がかかっているのが指定廃棄物の一時保管場所になっているということなんですね。そういう点でも、非常に影響を受ける可能性が極めて高い場所ということになるわけです。
 そこで、環境省にお尋ねしますが、一昨年の関東・東北豪雨で、除染等の放射性廃棄物が流出をした事例があると承知をしています。日光市において流出した事例がどのようなものだったのか、同様に、福島県の飯舘村でも除染土壌が流出したと聞きますが、どのようなものだったのかについてお答えください。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 まず、平成二十七年九月に発生いたしましたいわゆる平成二十七年九月関東・東北豪雨でございますけれども、まず、福島県の中通り側で豪雨となりました。この影響で、今御指摘がございましたけれども、飯舘村の中の主要な河川が氾濫をいたしまして、川沿いの農地除染現場に、これは仮置き場に搬入するまでの間、一時置きをしておったフレコンバッグ、土のう袋が流出をしたという事案がございました。
 また、同月、栃木県日光市におきましても、同じ豪雨の影響によりまして、これは河川護岸が洗掘をされまして、河川沿いの公園の地下保管場所から土のう袋が流出するという事案が発生してございます。
 このような事態を受けまして、直轄除染等工事の受注者に対しましては再発防止対策を指示いたしましたし、それから、市町村除染地域の関係自治体に対しましても、速やかに保管場所の点検を行い、管理体制を強化することを要請したものでございます。

○塩川委員 関東・東北豪雨の際に、福島県の飯舘村におけるフレコンバッグが流出をした、また、鬼怒川の上流に当たります日光市の大谷川の川沿いの公園に置かれていた除去土壌が流出をしたということになります。そういう点では、放射性指定廃棄物が流出をするというのが、あの豪雨の際にも現に起こっていたわけであります。
 そういった意味でも、この塩谷町における指定廃棄物の一時保管場所というのは、このままの状態で放置をすることはできないという場所になるということがはっきりしていると思います。
 環境省にお尋ねしますが、環境省において、指定廃棄物処分等有識者会議を開いております。昨年三月の第九回会合で、指定廃棄物の安全な保管のあり方について検討しております。
 資料の二枚目をごらんいただきたいんですが、その際に環境省が提出をした資料であります。「現地保管継続に当たっての更なる安全の確保について」というものですけれども、読み上げます。
 「茨城県では「現地保管継続・段階的処理」の方針で処理を進めることとした。」茨城県では現在ある場所で現地保管ということにするということです。「その他の県においても、指定廃棄物の処理が未だ進んでおらず、保管が継続している状況にある。」「このため、更に一定期間、保管の継続が必要となる場合も想定される。」茨城県の場合であれば、現地保管ですから当然その場で保管を継続する、その他の県においても、処理が進んでいないという点では保管の継続が必要となるということが想定をされると。
 「ただし、現在のガイドラインでも、補修等しながら一定程度の期間の保管には十分に耐えうるものと評価できる。」としながら、次の図で、「一方で、住民の更なる安心の確保や、保管場所の災害リスクの更なる軽減のため、八千ベクレル・パー・キログラムを超える指定廃棄物等に対し、地元からの要望を受け、必要に応じて保管の強化、遮へいの徹底を行う。」とあるわけです。その場合に想定されるリスクに、「住民の不安 保管場所が人家に近いことによる不安感」「竜巻・台風 屋根やシートなどが吹き飛び、廃棄物が飛散するおそれ」「水害 流水により廃棄物が流され、汚染物が拡散するおそれ」というふうになっているわけです。
 こういう環境省の提起に対して、こういったことについてはその会議において確認をされたということでよろしいんでしょうか。

○中井政府参考人 お答えさせていただきます。
 御指摘いただきました資料、昨年三月に開催されました第九回指定廃棄物処分等有識者会議の資料の中におきまして、さらに一定期間保管の継続が必要となる場合の保管強化手法について記述してございます。
 本資料でお示ししました保管強化の手法につきましては、特定の県のみで適用するものではございませんが、昨年二月に茨城県の指定廃棄物について、現地保管継続、段階的処理の方針が決定したことを踏まえて策定いたしたものでございます。

○塩川委員 特定の県に限定するものじゃない、ただ、茨城県が現地保管という方針を決めたので、そういうことも踏まえて出したものですということであります。
 それで、資料の二枚目の一番下の図ですけれども、「保管強化、遮へいの徹底の例」というふうになっています。ここに、左から見ると、ボックスカルバートの設置、コンクリートボックスへ入れかえ、鋼製コンテナへの収納、コンクリート構造の堅固な既存の施設へ移送、こんな例が出されているわけですけれども、既にこういった措置が茨城県では行われていると承知をしております。
 この茨城県で行われている保管の強化、遮蔽の徹底の取り組みはどのようなもので、幾つぐらいの自治体でこれが行われているのかについてお答えください。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 茨城県におきましては、昨年二月に、現地保管継続、段階的処理の方針が決定したことを受けまして、保管者と御相談の上、個々の保管場所ごとの状況に応じた対策を実施しているところでございます。
 措置の内容といたしましては、県内十五カ所の保管場所のうち五カ所につきまして、コンクリートボックスやコンクリート保管庫の整備を実施済みまたは実施予定でございます。それ以外の保管場所につきましても、必要に応じて遮蔽対策や保管場所の補修等の対策を実施しているところでございます。

○塩川委員 コンクリート保管庫、コンクリートボックスで五カ所、その他のところもあるということですが、もう少し細かく説明してください。

○中井政府参考人 お答えさせていただきます。
 コンクリート保管庫を整備いたした例といたしまして、龍ケ崎市は整備済み、ひたちなか市、守谷市におきまして整備中でございます。コンクリートボックスを設置ということにつきまして、高萩市、取手市において整備済み。屋根の補修を実施、日立市において実施。フレコンへの詰めかえを実施、土浦市。遮蔽対策を実施、小美玉市。現状の保管を継続、その他七市町となってございます。

○塩川委員 今お答えにありましたように、それぞれの自治体、現地保管ということですから、保管しているものにもよりますけれども、当然、一定期間保管をするということを前提にした保管の強化、遮蔽の徹底の対策をとっているところです。そういう例がもう現にあるということになるわけです。
 こういった保管の強化や遮蔽の徹底の費用というのは、当然、環境省が負担をし、東電に求償するものだと思いますが、確認です。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 茨城県で行われております指定廃棄物の一時保管場所の強化につきましては、環境省が財政的支援を行っております。この財政的支援に要した費用は、全額東京電力へ求償することとしてございます。

○塩川委員 この保管の強化、遮蔽の徹底の費用というのは、まさに汚染者負担原則にのっとって原因者である東電に求償するという除染特措法に基づく措置になっているわけです。要は、地元自治体が費用負担するような話じゃないよねという話であるわけです。
 そうしますと、資料の二枚目にありますように、真ん中の枠のところで書いてあるように、「住民の更なる安心の確保や、保管場所の災害リスクの更なる軽減のため、八千ベクレル・パー・キログラムを超える指定廃棄物等に対し、地元からの要望を受け、必要に応じて保管の強化、遮へいの徹底を行う。」というのは、これは塩谷町のまさに一時保管場所が該当する話ではないかと思うんですよね。
 ちょっと確認ですけれども、塩谷町の一時保管をされている指定廃棄物の放射線量、ベクレルでいうとどのぐらいの数値になっているのかわかりますか。

○中井政府参考人 恐縮でございますが、今八千ベクレル以上ですけれども、ちょっとこの数字、今手持ちに持ち合わせてございません。

○塩川委員 再測定をやったわけですけれども、一万六千ベクレルなんですよ。まだまだ非常に高いというのが実態であります。
 そうしますと、このような保管の強化の該当箇所として、当然のことながらこの塩谷町の場所が相当すると思うんですけれども、まず、環境省として、塩谷町の一時保管場所の災害リスクが非常に高いという認識はお持ちでしょうか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 現在の塩谷町の指定廃棄物の保管の状況につきましては、保管基準に従って、覆土する、遮水シートを覆うなど適切に対応しており、ある程度の風雨には十分耐えられる構造であると認識しております。
 しかしながら、御指摘のように、浸水の懸念があるということは事実でございます。町からよく話を聞いて、場所の移動など当面できることについての引き続き協議を続けてまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 場所の移動を含めて協議をするということなんですけれども、塩谷町にしてみれば、もともと、那須塩原市の牧草を農家の方が持ってきて、それが一時保管という形になっているものですから、その他の場所で何か指定廃棄物の保管場所があるわけではない。ですから、もともと町有地に移したという経緯があるわけですよね、民家からも離れたところでということで。
 それが、結果とすれば、こういった浸水の被害が極めて高い場所になるということですから、ほかのところに持っていくと言われても、実際にはなかなか移すにも移せないという状況ですから、だから冒頭で確認をしたように、環境省に対して、コンクリートボックスなどに入れるといった、現地の保管策の強化をとれないかと言っているんです。
 まさに、環境省自身が確認をしているこの保管の強化策の該当場所だと思うんですけれども、まさに塩谷町が要望しているようなコンクリートボックスへの詰めかえとかいう措置をとらないんですか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 現地保管継続の方針を決定している茨城県とは異なり、栃木県の指定廃棄物は、県内一カ所に長期管理施設を整備し、塩谷町の指定廃棄物も含めて集約し、国の責任でしっかり管理させていただきたいということが現在の方針でございます。
 そうした中で、現在の塩谷町の指定廃棄物につきましての御懸念等ございますので、町からの御要望等をよく話を聞いた上で、場所の移動など当面できることについて引き続き協議を続けてまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 いや、場所の移動は困難だという話で、現地における保管の強化をしたいという要望なんですよ。
 茨城県はそれぞれの現地保管と決めたからというんだけれども、そもそも、だって、この環境省が方針提起をして有識者会議でも確認している対策というのは、冒頭にあるように、茨城県では現地保管、でも、その他の県においても、処理が進んでいないので保管が継続している状況にあるから対策が必要だよねということになっているわけなんです。茨城県だからやっています、栃木県は一カ所に集約した処分場をつくるから対象外ですという話じゃないんですよ。現実にはこの処分場ができていないんですから。一時保管は継続しているんですよ。
 だとしたら、災害のリスクが高い場所であれば、現地における保管が継続せざるを得ないということで保管の強化策をとる、そういう点でのコンクリートボックスに入れかえるなんというのは当然の措置じゃないですか。なぜそれができないんですか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 町からよくお話を伺いまして、御指摘のような浸水の懸念があること等が事実であるということから、環境省といたしましては、場所の移動など当面できることについて引き続き協議をさせていただきたいと思っております。

○塩川委員 大臣にお尋ねします。
 最初、冒頭説明しましたように、やはり関東・東北豪雨もあって鬼怒川で大きな水害が起きました。そういった際に見直しも行った際に、こういった形での洪水浸水想定区域になっている場所です。
 ここは現状は放置できないという認識は、大臣もお持ちでしょうか。

○山本(公)国務大臣 塩谷町の一時保管の場所については、先生御指摘のとおり、浸水の懸念がある場所であるということは十二分に認識いたしています。

○塩川委員 そうであれば何をするのか。実際、環境省と塩谷町が相談をしているということですけれども、しかし、塩谷町の方にしてみれば、もともとよそから持ってきた指定廃棄物相当のものが、安全な場所ということで置いた、しかし、それを移動しろと言われても、町内でまた近隣の住民の方の配慮も考えたら動かしがたいということであれば、現地の保管を強化するという選択肢というのは当然とり得ると思うんですよね。
 現に、ここで示しているような、まさに災害リスクが高まるような場所であれば、環境省自身がつくったこういうスキームにのっとって、コンクリートボックス、まあコンクリートボックスに限定する必要はない、何らかの保管の強化策を行う。
 現地における保管の強化策という選択肢はないんですか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しの答弁になって大変恐縮でございますが、現在、町からの御要望を受けまして、町のお話をよく伺う中で、浸水の懸念があるということを踏まえまして、場所の移動など当面できることについてまず対応したいということで、協議を続けてまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 移動の話というのも、それは選択肢としてあるかもしれない。同時に、現地の保管という選択肢は排除されていない。現地の保管の強化策というのは絶対だめなんですか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しで大変恐縮でございますが、現在、町とお話しさせていただく中で、場所の移動など当面できることについての協議をやらせていただいているという状況でございます。

○塩川委員 いや、質問に答えていないんですよ。現地保管の強化策というのはとれないのかということなんですけれども。

○中井政府参考人 何が現地保管の強化ということも踏まえて、町といろいろ御相談させていただくということだと思います。町の御懸念を払拭するという観点から、現在、場所の移動などの当面できることについて協議させていただいてございますが、町とよく相談させていただきたいということでございます。

○塩川委員 もう一回。要するに、現地の保管の強化策というのはだめと言っているのか。

○中井政府参考人 お答え申し上げます。
 現地の保管というものが何かということがあろうかと思っています。いずれにいたしましても、町とよく相談させていただきたいということでございます。

○塩川委員 大臣にお尋ねします。
 やはり町の要望はあるわけですから、現地の保管の強化策という形で出されているので。そういう選択肢は排除されていないわけですよ、ここにまさに環境省の枠組みで書いているわけですから。そういう選択肢も含めて検討すべきじゃないのかというのはぜひお答えいただきたいと思います。

○山本(公)国務大臣 先ほどから中井部長の方からお答えしていることに尽きるわけでございますけれども、県内一カ所に長期管理施設を整備し、国の責任でしっかり管理していくということが、最終的な私どもの必要なことだと思っております。
 その意味におきまして、御指摘の場所は浸水の懸念がある場所であることから、場所の移動などを含めて、当面できることについて、引き続き町と協議を続けていくことということに私どもは思っております。

○塩川委員 含めてということですから、当面ということにとどまらず、一定期間継続するような保管ということにもなりかねないということでいえば、私は、しっかりとした現地の保管の強化策が必要だと。それは排除されていないという答弁として承りました。
 同時に、一カ所に集約をする最終処分場を塩谷町につくるという話が、塩谷町挙げての反対になっているわけです。これは、この間の一連の選挙でもそういった審判が下っているわけで、これは昨年私も取り上げたところですし、福田昭夫議員はまさに地元ですから、繰り返しこの問題も取り上げているところであります。
 大臣にもう一点お聞きしたいのは、この塩谷町における放射性指定廃棄物の処分場問題ですけれども、私、質問したとき、原子力特別委員会でしたから、大臣にお聞きする機会がなかったものですから大臣にお聞きしたいんですが、この塩谷町の、国が計画をしている処分場の予定地というのが、実際には、土石流の危険渓流に相当するような地域であることや、一昨年九月の豪雨で浸水した場所であることを、このことについては環境省も認めているということを示して、環境省の候補地選定基準に照らしても、建設候補地は不適地だということを指摘しました。
 塩谷町に国が計画をしている指定廃棄物処分場というのは適地と言えないと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○山本(公)国務大臣 現在は、全国一律に整備されている既存の地図情報等を用いて詳細調査候補地の絞り込みを行うという一次スクリーニングが終わったのみの段階でございます。
 選定基準では、河川管理者が定めた浸水想定区域を一次スクリーニングで除外することになっていますが、塩谷町寺島入は浸水想定区域に指定されておりません。
 環境省としては、今後、詳細調査により、自然災害に対する安全性など現地固有の情報を把握して、有識者会議での評価を得た上で最終的な判断を行う予定であり、御指摘の豪雨による影響も含め、候補地として適、不適を判断するためにも、詳細調査を実施させていただきたいと考えております。

○塩川委員 詳細調査をやるまでもなく、現地というのは不適地だということも指摘をしているところです。
 そもそも住民合意がないわけですから、こういった計画を進めるということ自身は国の信頼そのものを損なうものでしかないという点でも、この計画は白紙撤回しかない。また、この一カ所に処分場をつくることを念頭に置いて、茨城県のように、分散保管をする、そういった現地における保管の強化策をとることを栃木県で行わないようなことが決してあってはならないということも申し添えておきます。
 残りの時間でもう一点取り上げたいのが、アスクル倉庫火災についてであります。
 二月の十六日に発生したアスクルの倉庫火災というのは、大変な焼損面積でもあり、長期間に及ぶ火災という点でも地域に大きな影響を与えるものでありました。
 総務省消防庁にお尋ねします。
 今回のアスクル倉庫火災というのはどのような火災だったのか。鎮火までの経緯や出火場所、出火原因、どんなものが燃えたのか、わかるところでお答えください。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 埼玉県三芳町で平成二十九年二月十六日に発生いたしました倉庫火災は、現在も原因等調査中でございますが、焼損面積が四万五千平方メートルに及び、消火活動が、鎮圧までに六日間、鎮火までに十二日間を要したという特異な火災であったという認識でございます。

○塩川委員 出火原因とか、どんなものが燃えたかというのはわかりますか。

○猿渡政府参考人 現在も、出火場所等々は想定されておるわけでありますが、収納可燃物の状況等について調査中でございますれば、よろしくお願いします。

○塩川委員 出火原因は調査中でも、在庫には食品や雑貨やOA用品ということで、通販での大手ですので、そういったものが大量に在庫としてあった、それが燃えたということになります。
 環境省にお尋ねします。
 環境への影響についてですが、火災発生後の有害物質等による大気汚染の状況というのはどうだったんでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 倉庫周辺の大気汚染の状況でございますけれども、周辺におきましては、大気汚染防止法に基づく常時監視が行われております。具体的には、埼玉県によって二地点、それから川越市、所沢市によってそれぞれ一地点ということで、計四地点の常時監視をしてございます。
 県、市に状況を確認いたしましたけれども、火災が発生をした二月十六日から鎮火した二月二十八日までの期間におきまして、主な大気汚染物質、具体的には光化学オキシダント、二酸化硫黄、一酸化窒素、二酸化窒素、浮遊粒子状物質それからPM二・五、こういう物質につきまして、環境基準値を超えるような測定値は見られなかったというふうに聞いております。

○塩川委員 主要な物質については、環境基準値を超える結果は得られなかったということです。
 ただ、これも、環境省の環境大気汚染物質広域監視システムという、そらまめ君というんですね、このそらまめ君の測定場所というのは、全国で一千カ所を超えるようなたくさんの数があるんですけれども、しかし、今回の発生した場所の近隣はどのぐらいの距離かというと、三キロから七キロぐらい離れているんですよ。
 ちなみに、私は所沢市に住んでおりまして、このアスクルの倉庫というのは、直線距離で四キロぐらいなんですね。ですから、直後なんかは結構においもありましたし、一週間ずっと煙が出ていますから、非常にやはり心配する方も少なくありませんでした。ですから、三キロから七キロ離れているところの測定ポイントで環境基準値を超えていませんと言われても、ああそうですかというふうにちょっとならないんじゃないのかと率直に思うんですよね。事業者の方も、このそらまめ君を使って、環境基準値は超えていませんでしたというのを現地説明会で行っているんですけれども、それはちょっと説明不足なんじゃないのかなと思っています。
 長期にわたる異例の火災だったわけですから、そういった環境への影響について、測定ポイントが遠いこういう調査を踏まえてではなく、もう少し近接した場所での調査とかができないのか。こういったことについてはいかがでしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のございました常時監視測定局でございますけれども、これは、継続的に測定をいたしまして、地域の大気汚染の状況でございますとか経年変化を把握するということを目的として全国に設置をしてございます。
 このため、今回の倉庫火災のような個別事案の影響を把握するという目的ではございません。ですけれども、比較的現場に近いものを参考として状況を把握したという状況でございます。
 今回の事例のような場合につきましては、法律による測定義務というのは事業者にはございませんけれども、実態把握のために、必要に応じて大気状況を事業者がみずから把握をされて、その結果を公表するというようなことも、周辺の住民の安心のためには有効ではないかというふうに考えております。

○塩川委員 やはり事業者がこういった必要な懸念に応える責任を果たしていただきたい。
 あわせて、アスクルが現地説明会を行ったんですけれども、その際に、住民の方から土壌汚染を懸念する声というのが上がったわけなんですね。
 葉物をつくっているような農家の方が多いところなんですけれども、この点で環境省にお聞きしますが、土壌汚染対策法に基づいて、土壌汚染の調査も行政として行う、そういうことというのは可能でしょうか。

○高橋政府参考人 お答えいたします。
 土壌汚染対策法におきましては、健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認める場合には、土地の所有者等に対しまして、都道府県知事の方から、土壌汚染の状況を調査させ、報告を命ずるということができる旨の規定がございます。
 埼玉県に確認したところでは、現時点ではこのような要件に該当するような状況にはないというふうに考えているということでございます。

○塩川委員 やはり住民の声に寄り添った対応が必要だと思っております。その点での、知事の権限で可能な調査なども含めて、実態の把握というのが必要だろうと思います。
 大臣にお尋ねしますが、やはり健康被害の懸念もあるところで、こういった近隣の住民の方々に対する環境影響、健康被害への不安に応える上でも、しっかりとした実態調査を行政としても事業者としても行うべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○山本(公)国務大臣 今回のアスクルの火災につきましては、一般的に、大規模な火災が発生した際には、大気汚染の常時監視の結果等も活用して、必要に応じて住民への情報提供が適切に行われることが大切だろうと思っております。
 今回の、極めて異例な大火災であったろうと思っております。先生の御指摘を十二分に踏まえて考えてまいりたいと思います。

○塩川委員 最後に、総務省消防庁と国交省が合同で検討会を開いております。資料の三枚目に防火シャッター等の閉鎖状況というのをお示ししました。国交省が作成をしたものであります。
 ここにありますように、実際、千五百平米の面積ごとに防火シャッターがおりるという前提になっているんですけれども、上にあるように、閉鎖状態にあるものもあったんだけれども、真ん中の欄のように、閉鎖障害がある、つまり、コンベヤーがたくさん走っているものですから、そこのところでとまっちゃっている、あるいは、右側にあるように、物品が置いてあって閉まらなかった、こういう例なんかがあるし、そもそも作動しなかったという事例もあるということが挙げられています。
 こんなことになぜなるのか。ここには法令上違反するような行為もあるんじゃないかと思うんですが、その辺の原因や法令上の関係について、国交省、消防庁に一言ずついただきたい。

○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の倉庫火災を受けまして、消防庁では、鎮圧翌日の二月二十三日より、消防庁長官の火災原因調査を行っているところであります。
 あわせまして、二月二十八日付で、全国の消防本部に対して、延べ面積が五万平方メートル以上の大規模倉庫を対象に立入検査の実施と実態調査を要請しております。
 その内容につきましては、立入検査においては、消防法令違反がないかを確認し、違反が認められる場合には重点的に改善指導を図るとともに、消防用設備等の違反、防火管理違反、その他の消防法令違反、及びそれに対する是正措置の状況について調査報告するように求めているところであります。
 また、立入検査に際しましては、特に、防火シャッター等の閉鎖障害となる物件等が置かれることがないように適切に管理することの指導、あわせて、通報、初期消火、避難誘導のほか、建物の構造その他消防活動上必要な情報の消防隊への提供について必要な体制構築を図ることの指導などを求めているところであります。
 今後は、国土交通省と共同で、有識者を委員とする検討会を三月十四日に第一回を開催したところでございます。検討会では、今回の全国の大規模倉庫の実態調査の結果も活用しながら、倉庫の利用形態を踏まえて、確実に初期火災の拡大防止を図るための方策、円滑な消防活動を実施するための方策などの課題について、倉庫、物流団体や消防本部など当事者の御意見も伺いながら検討を進め、六月中には方針を取りまとめる予定でございます。

○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の倉庫火災につきまして、国土交通省の対応でございますが、総務省の消防庁等の関係機関と連携し、国土交通省においては、本省国土技術政策総合研究所及び建築研究所の職員が、延べ五回にわたって現地調査を行ってきたところであります。
 また、あわせて、国土交通省として、さらに、全国の倉庫における実態を把握するために、二月二十八日付で、全国の特定行政庁に対して、床面積が五万平米以上の大規模倉庫を対象に、防火シャッターが撤去されたり閉鎖障害が生じる状態になっていないかどうか、あるいは、非常用の進入口について、物品の放置等により消防隊の進入に支障がある状態になっていないかどうかを調査し、本日までに調査結果の報告を求めることとしているところでございます。
 また、この現地の話につきましては、先ほど消防庁からお話がございましたとおり、この現地の状況、それから今の調査を踏まえまして、大規模倉庫における防火対策及び消防活動のあり方に関し徹底的な検討を行うために、総務省消防庁と共同で、有識者等から成る検討会を設置したところでございます。
 できるだけ早急に議論をし、この防火シャッターの状況も含めまして、火災が拡大した原因を調査し、その結果を踏まえて、六月中をめどに結論を取りまとめていただき、必要な取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。

○塩川委員 原因究明をしっかりやっていただきたいのと、四枚目の資料にあるように、急速に大規模倉庫がふえていますから、こういった新しい事態に備えた、必要であれば法制度の整備も含めた検討を行うことを求め、質問を終わります。